「日本の産業をテクノロジーによって変革」というテーマで募集が始まっている、IBM BluHub第4期インキュベーションプログラム。
変革者へのインタビュー企画として、今回はドローンを利用した空の新物理インフラの構築に挑戦する(株)アイ・ロボティクス COO 小関氏にインタビューを行いました。
小関氏が考えるSKYPROBE構想とはどの様なものなのか、インタビュー記事をお楽しみください。


航空管制システム製作時代からの自動化への想い

―過去の経歴やドローンに携わったきっかけを教えて頂けますか?

前職がデータグループにて18年間航空管制システムを新卒から作り続けていました。最初はプログラムコードを書くところから入って、最終的には200人ぐらいのプロジェクトマネージャーまでやりました。航空管制システムというのは、古いレガシーなシステムなのですが、その中に航空管制官をAI化するというプロジェクトが10年程前にあり初期から関わって作っていきました。

しかし、航空監査の場合は結局人がずっとやっている仕事なのでエンジニアがどれだけ頑張っても自動化は叶いませんでした。自分自身は随分前から自動化という欲求がものすごくあってそんな時にドローンが現れました。

2014年頃、(株)かもめやさんが香川港から男木島に8キロ物流送付をやるという実験を見に行きました。すると自動航行で荷物を持って8kmも飛んだのです。

これは凄い!となり、プログラムを作って自動化させれば航空管制の自動化にもっとも近い動きになるのではと思いました。その後ドローン関連の人たちとの関係を築いていく様になり、今後一時代来るなと思いましたので、これに懸けようと独立を決めました。

―設立メンバーはどの様に集まったのですか?

設立は6名なのですが、私を除く5名は既に3年程前から集まって勉強会をしていたりしていました。そこに私が加わってiROBOTICSを創ろうとなったのです。長年エンジニアベースで起業経験がないのでいきなり自分だけでやるのは難しいと思ったのと、他のメンバーは皆起業経験があったのでこのメンバーに入った方が勝負できると思っての決断です。


ドローン・サービスインテグレーターとして

―設立当初、御社の構想はどの様なものだったのでしょうか?

これは社長の安藤や他のメンバーの想いでもあるのですが、当時のドローン産業は、機体販売が主な市場でした。ただ大手企業さんとか社会のニーズを考えると機体を売って終わりだとドローンを飛ばせる人も育たないですし、知識もないのでどのように使うべきか分からないという事で、そこにギャップがあると感じていました。

私たちは機体販売というのではなく、社会側のユーザーニーズを埋めるためのネットワークを作る活動をする、これがiROBOTICSの基本的な理念です。
そこでドローン・サービスインテグレーターと名乗っています。

サービスはユーザーが求めるものなので個々で変わりますが、ユーザーからすればドローン1個あっても何かが解決することはほとんどありません。結局オペレーターの準備と、それに合わせたシステムも作らないといけない。また、それに併せた通信の機器は何にすればよいかというところの全部を知っている人はユーザー側にいないわけです。

そこを私たちが請け負って一式組み上げるというのが現状のサービスの形です。


ドローンによる社会インフラ!SKYPROBE構想

―SKYPROBE構想とは何か?またどの様にして生まれたのか教えてください。

(アイ・ロボティクスHPから引用:http://irobotics.jp/skyprobe/)

自動管制というところに自分のやりたい事があり、プラットフォームを創れないかと発想していた時に、協力会社さんと共にバッテリーの開発などにも携わるようになってきて、更に発想が拡がっていきました。

またイーロン・マスク氏がバッテリーセンターをオーストラリアに作っているという様な世の中の動きを見ると、バッテリーもどんどん改善されていく。長時間飛べるドローンというのが近い将来出てきて、今より多くのドローンが上空を飛んでいるだろうと想像出来たのがポイントの一つですね。

あとドローン業界の7,8割の方とは会っていて、多くの方々と話してニーズとかお聞きする中で、今は測量や災害時、遭難者発生時にドローンを利用した調査をする場合、ドローンの運用チームが現地に出向く必要がありますが、一刻を争う状況下では大きなタイムロスとなってしまう。災害が起きた時の上空写真など、そこに人が行かないといけないというのが現在ボトルネックとなっていると気づきました。だとしたら常時滞在型のドローンが上空に待機し、もし何か問題があればそこに行って撮影して帰ってくればいいだけだと思い、それを私の管制のノウハウで作れると思ったのです。

SKYPROBE構想とは、AI管制により常時空から地上の状態をマッピング、調査ができるドローンによる新しい社会インフラです。

―上空何メートルぐらい滞在のイメージですか?

待機中は3000メートル程を滞在し、事故などが発生し撮影する必要がある場合は300〜150メートルぐらいまで下降し撮影するというイメージですね。昨今のカメラですとそこまでは降りてくる必要があります。

あと付け加えて衛星通信の代わりに通信媒体となる事も可能と思っています。
衛星だと地球規模でカバーできるというメリットがありますが、地上から20万キロとか離れているのでレスポンスが遅い。また使用コストが高いという課題があります。

SKYPROBEで機体をメッシュ型に組んで上空に滞在させておけば、衛星通信の代わりのハブになる事が期待でき、山上でも海上でも使用可能です。

最終的には衛星を補完する未来が来ると考えていますし、衛星に対して狭域の部分を補う事が可能です。


空の産業革新を興す!グランドチャレンジ

―SKYPROBE構想の前に日本からシリコンバレーまで約8000kmの距離を飛ばすグランドチャレンジを掲げていますがど

(アイ・ロボティクスHPから引用:http://irobotics.jp/skyprobe/)

現状、長時間・長距離飛行可能な機体自体は世界中で出始めています。6時間、8時間飛ぶドローンというのが海外にはあります。

もう一つは、管制のプラットフォームをグランドチャレンジで試す。そこは我々のチャレンジです。

私たちがグランドチャレンジを掲げることで、世界中の技術を持った企業に集まってもらい、長時間航空可能なバッテリー、機体を持っている会社に出会うことができる、そして、SKYPROBEの機体として飛ばして頂く、というのが戦略としての意義です。

もう一つは、管制のプラットフォームをグランドチャレンジで試す。そこは我々のチャレンジです。

―グランドチャレンジにおける課題はどこでしょうか?

課題としては2つで通信技術とバッテリーです。
通信は本当に課題で各国共通の周波数はありませんので、各国共通で何を使うのかというのは大きな課題です。国内でも問題は同じでどんな通信技術で監視するのかという問題があります。総務省も取り組み始めていますが、中々出口は見つかっていなくて世界的にも同じ課題を抱えています。

また世界規模で大きなことをやるには、莫大な資金も必要になるためスポンサーが必要になります。できればアメリカ、中国の大手企業とタイアップ出来るよう頑張りたいです。


まずは建築業界でのソリューションを

―社会課題の解決とありますが、最初はどこの市場を狙っていますか?

産業で狙ってる市場は、i-Constructionという言葉がはやっている建築系です。建物の点検、測量など、建築に関わる分野は、これからの高齢化社会、労働力不足、またオリンピックに向けた環境整備などが重なり、ロボットによる自動化が進む分野です。

ただ国内だけでは事例が足りないので海外もリサーチし海外の会社にも交渉しようとしています。

―HPに災害支援の記事も出ていましたが、災害支援も注力されて行くのでしょうか?

社会的意義のある分野ですし、非常にやりがいを感じます。山岳救助隊のレスキューの方々、警察の方々との活動を通し正しい使い方がわかったので、しっかり世間に広げていこうと思っています。

ただし上記の様な活動は、行政主導で組織化して拡げないといけないと思っています。
民間単独でやるのは限界があって、2017年7月初旬の大分の洪水災害の際も、何か協力したいという気持ちはあっても、民間では現地で活動できないので、県や国がドローン部隊を取りまとめて貰うよう働きかけています。
今後、行政がヘッドになって民間のオペレーターが参加できるようなプロジェクトが作られなければならないと思っています。


圧倒的スピードで進むシンセンのドローン技術

―ドローン技術で最も進んでいる国はどこになりますか?

研究に関しては各国様々で進んでいます。ハードウェアについては、中国の深圳が圧倒的なスピードで進んでいます。国と民間が一体となり、ハードウェアを作るベンチャー企業が集まっていて、何か作りたいと発表すると垣根を越えてすぐに集まってきて、1週間もかからずに作り上げます。
また、とてもオープン思考の方たちが集まっていました。機体、ハードウェア技術は間違いなく中国ですね。

ただ管制など法規制について、産業としての枠組みを作ろうとしているのはアメリカです。アメリカは産業用のドローンを飛ばすことが出来なくて、オープンにすると勝手に始めちゃうのでしっかりプラットフォームを作ってからやろうといった方針です。国際標準規格(ISO)を決めてから進めよう、標準化してから進めるというのがアメリカです。欧州も同じです。


将来は宇宙ビジネスも視野に

―今後のロードマップはどの様にお考えですか?

早く中国など海外に進出し、実際にドローンをたくさん飛ばしてログを取り運用を早く改善していく必要があります。日本は規制がきつく、またドローンを長距離で飛ばせる様な環境がないため国内で進めて行くのは難しい状況です。

飛行実験からたくさんの航跡データを取り、AI化していきます。AI化することで他の産業分野への活用の可能性も広がります。この取り組みに並行する形で、常駐型の機体も追いついてくると予想しています。両者が併さって、SKYPROBE構想が完成する。そこまでを3年半以内で達成したいと考えています。

世界のスピードはそれほど速いと思っていますし、日本のベンチャーが世界で戦うにはアジアに出て行って連携を作っていかないと勝てないと思っています。 Googleなどに勝てなくても近しいものを作り、少なくともアジア市場で存在感を出せるようにと考えています。

―またその先に描いているものはありますか?

これは妄想の話ではありますが、宇宙ビジネスです。
将来的には、宇宙を行き来するスペースシップが出てくると思うのです。それにSKYPROBEのインフラが繋がればいいなと思っています。

SKYPROBEが出来上がれば地上でやるべきことはなくなると思うので宇宙に目を向けないとダメかなと思っています。最終的に衛星に置き換われば良いですけどね。衛星と地球圏内のSKYPROBEが連携して新しいプラットフォームが決まる。これが私の妄想です。

―空を超えて宇宙まで考えられているとは、凄く興味深いですね。
今後も小関さんの取り組み注目させて頂きます。本日はありがとうございました。